腰痛から知る、体の仕組み

腰が痛みを起こす仕組みを、施術者の視点でわかりやすく説明できたらと思います。

他の部分の痛みにも通じるので、参考にしてもらえたら幸いです。

正しく理解すれば、より早く、効率的に治すことに役立ちます。

腰を支える機能と構造。

先ず、腰がどんな構造をしているか、どんなものと繋がりあって、構成されているか。支えられているか、簡単に頭に入れておきましょう。

  • 骨、脊椎、そのカーブ:単純に、カーブがある状態とない状態では、物理的な負担のかかり方が違います。バネを思い浮かべてもらえるとわかりやすいです。
  • 椎間板:クッション、サスペンションの役割、繊維質の膠原繊維(織り込まれた繊維状の軟骨みたいな成分)にそれよりも柔らかいゲル状の髄核が入ってます。
  • 関節:骨同士を繋ぐところ。可動性のジョイント構造をしており、潤滑剤が豊富にあることで、滑らかに動かすことができます。
  • 骨膜、腱膜、筋膜 関節の膜:強く柔軟な膜で構造の場所をあるべき形に支えます。
  • 筋肉:生きる活動をするために、効率よく最適な位置に骨などを動かします。
  • 腹腔圧:腹筋、背筋、横隔膜、骨盤隔膜とお腹周りの筋肉に力を込めることによる腹圧で、張りを出しシャキッとさせる。自前のサラシ機能です。
  • 神経:互いに手を繋いだ特殊な細胞です。受容系から入った、私たちの内外の変化を、筋肉へ、内臓へ、腺へと伝える。上記のシステムを繋ぎ、統合させる重役です。
  • 内臓:特に、大腸、小腸、胃、肝臓、腎臓等の健康状態。

手技療法家視点の椎間板、ヘルニア。

椎間板を痛める、ヘルニアなどと聞くと、その部分に焦点がいきがちですが、実はその周囲の骨の状態が良くない、深部筋膜の緊張も偏っている、ということが、長年施術をしてきてほとんどのケースでみられます。骨、骨膜、関節、椎間板のレベルから硬くなっている。

そして、柔らかく健康な脊椎との間の椎間板に負担がかかりやすい状態が続いています。

本来だったら全体で、協調し合いながらバランスを取ることで最適な動きができるのだけど、部分的に凍っているような場所があり、負担が偏っている状態です。

体に意識がいきづらい人ほど、硬くしてしまう範囲が広く、実は飛び出た椎間板はめちゃ頑張った、腰椎椎間板連中の中では、健康だった最後の砦でした、なんてことも、ままあります。

逆に体とよくコミュニケーションできているタイプの方では、ちょっと部分的に違和感を感じた時点で強い症状に感じるので、より繊細に見ていく必要があります。が、施術者としては肉体的にとても好印象な状態です。

そんな人は、例えば足の関節を少し傷め、その影響で関連する筋、筋膜のごく一部が、脊椎の一つが硬くなりつつある、とか。横隔膜や骨盤隔膜が少し張っている程度でも、腰痛と感じる人もいます。

定期的に運動している、運動できるレベルが高い人ほど、その傾向があります。精密機械のようにフィードバックがうまくいっている状態です。

どのような場合に骨まで硬くなるのか。

しっかりと栄養や休息が取れていて、日頃から体を動かしていることによって、体力がある人は、筋膜の深い部分や、骨膜、骨も硬くなりにくく、施術の際も治りやすいです。

骨が硬くなるケースとしては、体を動かすことが極度に少ない期間が長く続いたり、ムチウチなど昔事故をしたことがある、継続的に長期間負荷をかけすぎていた、重い病気を経験したことがある、もしくはその療養中の方などです。

筋膜の深い部分や、骨膜、骨まで硬くなると、なかなか自分だけでは抜け出せません。

骨が豊かと書いて、體(からだ)と読んだくらい、昔の人は健康に対する骨の重要性をわかっていたのかもしれません。

昨今若返りのホルモンということで有名になったオステオカルシンは、骨に適度な刺激が入ることで(地面に足をつけて体をしっかり動かす)分泌が促されることが知られています。

しかし、凍ったように硬くなってしまった部分へはなかなか良い刺激が行き渡りませんし、往々にして疲れやすい、張りやすいので、運動の継続自体が難しいケースが多いです。

オステオカルシンの働き。

オステオカルシンの働きを述べてみましょう。

  • 膵臓の働きを高め、インスリンの合成、分泌を増やすことで、血糖値の上昇を抑える。インスリンの働きを高めるアディポネクチンの分泌も促進する。
  • 脳神経細胞へ働きかけ、認知機能の増大や、記憶力が増すなど、脳の活性作用。
  • 男性ホルモン(テストステロン)分泌増加、生殖能力の向上、骨、筋肉量の増加、肉体の活動性を高め、リスクを厭わない冒険心の高まり。メタボ予防、筋肉増強。
  • 活性酸素の産生を減らし、免疫力を高める。
  • 血管の健康 一酸化窒素濃度を増やし、血管の柔軟性を高め、動脈硬化による疾患の予防。

上記を読まれて、なんとなく、このオステオカルシンの機能にループがあることに気が付かれる方も多いと思います。

体を動かすことで、より体は成長したり、やる気が出たり、そのことによってさらに体は代謝され、強く柔軟になっていく。ポジティブなループがある。

逆に、どこかでこの流れがストップすると、体を動かしたくなくなる、やる気がなくなる、体の代謝は下がり、さらに体を動かしたくなくなる、ネガティブなループが生じる。

手技療法家の目線で様々な場所で人を見ていると、後者にはまっている人はとても多いです。自ずと生きる動きは小さくなり、積極的になりづらかったり、体の様々なレベルで影響が見られます。

皮膚への現れ。

強い症状を表すほどの腰痛でなくとも、慢性腰痛の場合、多くのケースで腰の骨、関節、周囲の筋、筋膜、骨に先に述べたようなよくない状態があることが多いです。そうすると間接的に皮膚に変化が出てきます。合わせ鏡で見てみたり、近しい人の背中を見せてもらったり、触らせてもらうとわかりやすいかと思います。

皮膚が柔らかくきめ細やかになることが、腰の骨や関節などの表からは見えない部分が良くなる一つの目安にもなります。腰に限らず、骨、関節の健康は皮膚の状態に関わるので、全身チェックしてみるとよいです。

内臓との関連。TMS(緊張性筋炎症候群)理論。

内臓の状態と腰周りにある筋肉の状態は実は自律神経を介して連絡を取り合っています。

わかりやすい例で言えば、お腹が痛くなったら自然と丸まりたくなるのはそれです。

意識や体感にあがってこなくとも、例えば肝臓が疲労している状態が続くと、それに対応してくる筋、筋膜が硬くなり、長期で続けば、腱膜、骨膜、骨と、こわばりは深くなっていく。

ストレスが腰痛に関わってくると説いている、ニューヨーク大学医学部の教授ジョン・サーノ博士が提唱するTMS(緊張性筋炎症候群)理論は、腰痛は胃痛などと同じく心身症であるという視点を伝えたものです。サーノ博士の講演を聞いたり、著書を読むだけで長年の腰痛が解消された、軽減されたという人が多くででいるというのは興味深いです。「心はなぜ腰痛を選ぶのか」ジョン・E ・サーノ著

同じくNY大学で行われた研究で、腰椎椎間板のヘルニアが有る無しと腰の痛みには相関関係が見られなかったという結果も、痛みのメカニズムが単純ではないということを表しています。

体は本当に起きていることを正しく見極め、主要な問題に少しでもアプローチできた時点で、結構、痛みが和らいだりする。これは施術者としての、長年の経験則です。

僕はここでなぜだか、昨年コロナで、日本において緊急事態宣言が発令されて、お金を配った時期に自殺者が大幅に減少したという話が、思い返されました。一度社会活動がリセットされて、私たちがふと我に返った瞬間だったかもしれません。

よくない姿勢で長く過ごすことで、筋膜が硬い状態が続きます。そうなると関わる筋肉も緊張し、交感神経が興奮しており、交感神経と拮抗して働く副交感神経に切り替わらず、内臓は休まらない、消化、吸収、代謝、排泄という、体を治し育む働きは抑えられる。

そうなると内臓(喜怒哀楽と、それぞれに感情と深く結びつく)は負担が続き、ストレスへの耐性も弱くなります。

そのため、往々にして、心理、感情的な負担と、物理的な負担の複合であることは多いです。

慢性腰痛や、ぎっくり腰の人はほとんどのケースで、その複合なので、心理、感情、内臓からと、筋、筋膜、骨の両側から治癒をサポートしてあげなければいけません。

施術の際も、腎臓、肝臓、腸と、腰の痛みが関連していたケースはとても多いです。

正しく見極める 腰の治し方。

一度ぎっくり腰をすると、そのトラウマから、自分は腰に爆弾を持っているという表現をする人が多いです。その動きは恐る恐るで、消極的です。個人的に、とてももったいなく感じます。

確かに、ずっと複合でよくない状態が続けば、ぎっくりを繰り返したり、大きな病気だって招くから、爆弾という表現はあながち間違ってはいないのだけど、手順を間違えずにその爆弾(悪いループ)を解除して、その爆発のエネルギーを建設的な方向へ、治す力に、活きる力に転換されたら、人生にとってとても良いのではないでしょうか。

正しく見定めるための一例を出してみます。

この絵は、怪我をする1例として表しています。

筋トレのデッドリフトという背筋群を全体的に鍛える種目です。

背筋を主に全身の筋肉を使う種目のため、高重量が扱えるだけに、怪我も多いです。

誤解を避けるために先に言っておくと、椎間板も骨も健康であればとても強いものです。そうそう怪我はしないので、恐れず運動して大丈夫。

65キロ程度の体重の男性(還暦近い方)でも、デッドリフトでトップクラスになると200キロ以上あげることができるくらいです。単純に筋肉量だけでなく、神経的にも全身の統合性がとれていて、いかに効率的に、初動で爆発的な力が出せるか、腰を支えるシステムを総動員して、全力を出せるか、という高度な集中力と技術を要する種目です。その意味で、他の種目よりもごまかしがききづらいので、腰の強さや、全身の調子を教えてくれるバロメーターとして、個人的に苦手だけど、好きな種目です。バランスが崩れた状態で、無理すると、偏りが出るため、怪我します。上がるととても気持ちが良い。

事故や怪我で、突発的に椎間板が傷ついたり、髄核が飛び出したり、筋肉が肉離れしているのに、サーノ博士の本を読んでも何も効果はありません。その場合は、強い炎症反応が起こっている部分は極力安静にしつつ、ストレッチなど、できる運動はして体液の流れを良く務めること、特定の部分に負担がかかりやすい下地があったとしたら、それをリリースし、全体としての動きと、体液の循環を回復させることが、先ずすべきことです。

目に見える皮膚にできる傷を思い浮かべてみてください。1〜2週間もすれば大体綺麗に治っています(年齢や、健康状態によって差があり)。

飛び出た椎間板も、怪我レベルで傷ついた筋繊維も、修復され、いらなくなった部分はマクロファージが食べて掃除してくれる。その環境を整えてあげることが大事です。

ちなみに慢性的に負担がかかり続け、飛び出続けていた椎間板とその周囲はかなり硬く、浮腫んで体液の循環も悪いです。筋肉や筋膜など、他の組織にも同じことが言えます。外科的な処置が有用なケースはありますが(大きな事故等での損傷)、基本は、流れを妨げている制限を取り除き、循環を回復させ、その上で栄養してあげる。治る環境づくりが基本になってきます。

ぎっくり腰を起こす方、慢性腰痛の方は、大きな刺激による怪我や事故とは違い、先に述べた複合ケースであることがほとんどです。ぎっくり腰は、怪我というよりかは、負担が長期でかかり続けて、心理的、感情的、肉体的な部分を総合してみて、臨界点を超えた時に、強制的にリセットされるような仕組みに見えます。施術への反応も良く、割と早期に回復するようです。

とはいえ、自然界で言えば生き残れないくらいのダメージです。かなり追い込まれていたことは自覚して、良い機会として、生活を見つめ直し、しっかり治すことに取り組むことができれば、人生を良い方向に向かうための良いきっかけであった、と、捉えることもできますし、そうなってほしいです。

体の状態をしっかりみれる手技療法家にチェックしてもらい、文頭に述べたシステムの状態で、不具合を見つけたら、良くすること。

浅い部分の筋膜なら、テニスボールなど道具を使ってリリースしたり、ストレッチをすることで、結構改善します。

深部筋膜や、骨膜、骨など深い部分は、そのレベルをみられる療法家に頼るのがベストです。

感情、心理面からの影響が強そうであれば、サーノ博士の本やそれに準ずる本を読んでみたり、心理療法を受けることは、真面目にお勧めできます。

トラウマからの回復や、グラウンディングや感情面をサポートするフラワーエッセンスや、エネルギー療法も役立ちます。トラウマ専門の療法(これはまだ私自身未経験で、気になっている療法の一つ)も良さそう。

腰が治るということは、オステオカルシンの機能を知ってわかる通り、バイタリティが上がり、やる気がみなぎり、生きていて心地よい、体の中にいて気持ちがいいというところにつながっていきます。

それはエネルギー療法でいう1チャクラの機能、健康状態ともリンクします。

充実した人生を送る上でも、やる気がでて活力があることは。何かを生み出したり、経験していく、人としての機能が活きてくるために大切です。

これらのことから、腰を治すことが、人生の土台から変わるような大きなことであることが理解されます。

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